Interviewee:
エドワーズライフサイエンス株式会社 ヴァイスプレジデント 人事本部長
北川 健二 様
慶應義塾大学卒業後、日系製薬企業に入社。ファイナンスやビジネスサイドから人事部へ異動し、その後転職した外資系製薬企業でJapanとJAPACの人事ヘッドを、外資系バイオファーマ企業で人事のヘッドを務める。 2020年6月から現職。
入社企業を選ぶ3つの条件全てに合致するのが、エドワーズだった
北川様:はい。ヘルスケア企業の社会的な貢献、インパクトに強く関心をもっていましたので、私のキャリアの全てがライフサイエンス領域です。
私が入社企業を選ぶ条件が3つありまして、それら全てに合致したのがエドワーズだったのです。
1つ目は、イノベーションに積極的に投資し、優れた自社開発製品を出せる力を持っていることです。 実際、エドワーズは売上高の17%〜18%を研究開発に投資しており、これは製薬企業も含めたヘルケア業界全体でみてもかなり高い比率だと思います。実際に革新的な製品をいくつも上市しています。
2つ目は、日本のマーケットに注目し、投資をしていることです。日本はグローバル全体の売上高の約10%を占め、国別で言うと、アメリカに次ぐ規模です。アメリカ本社からの注目度も高く、様々なサポートを受けて成長しています。
そして3つ目は、社員の間に患者さんを第一に考える文化が浸透していることでした。 入社前に多くのリーダーと話す機会があり、話せば話すほどエドワーズの魅力を感じたという事も大きかったですね。
北川様:ヘルスケアの領域で共通している点もありますが、医療機器企業のほうが、製薬企業よりヘルスケアプロバイダーに近い位置にいると個人的には感じています。
手術室に社員が入るというのも私にとって初めての経験でしたし、カスタマーサクセスモデルで言うと、かなりハイタッチのモデルだと感じました。社員の在り様やマインドセットは、製薬やバイオテクノロジーと似ていると思います。
北川様:弊社ホームページの「エドワーズの技術開発ストーリー(https://www.edwards.com/jp/who-we-are/stories)」にも詳しく書かれているのですが、1958年、エンジニアのマイルズ・ローウェル・エドワーズによって設立され、世界で最初に人工心臓弁の製品化に成功しました。
1985年にバクスター社と合併しましたが、2000年にそのバクスター社からスピンオフして現在に至ります。日本法人も2002年、バクスター社から分離して設立されました。
イノベーションへの投資がエドワーズの生命線
北川様:事業部は、現在作り上げている途中の事業部を含めて4つです。
弁膜症の開胸手術に使用する人工心臓弁や人工弁輪を取り扱うサージカル事業部、経カテーテル大動脈弁治療(TAVI:Transcatheter Aortic Valve Implantation)製品を取り扱うTHV事業部、重症度の高い患者さんの血行動態モニタリング製品を取り扱うクリティカルケア事業部、そしてTAVIの技術を僧帽弁、三尖弁に当てはめた製品を展開しようとしているTMTT事業部を現在作り上げているところです。
北川様:そもそもベンチャースピリットを抱いて人工心臓弁を開発したところから始まっていますし、革新的な製品を開発することに思い入れが強い会社です。
そして、自ら起こしたイノベーションで獲得した資金を再投資し、また新しいものを作り出し自己成長していくというビジネスモデルです。
2023年5月に新たに着任した新CEOのベルナルド・ゾビギアン「イノベーションへの投資が我々にとっての生命線だ」と明言しています。
「選択と集中」のもと、構造的心疾患とクリティカルケア領域のみに事業を特化し経営資源の投入をしているからこそ、継続的に革新的な製品を生み出せています。
根底にある「社員に長く働いてほしい」という想いと、それを支える制度、カルチャー
北川様:人事制度や福利厚生ですが、まず他社に引けを取らないものは一通り取り揃えていると考えています。 その根底にはエドワーズがバクスターからスピンオフして以来、2023年5月に交代するまでCEOを務めてきたマイク・ムサレムの想いがあります。
社員の方々が長期にわたってエドワーズに就業し技術の発展と患者さんのために努めてほしい、というものです。 この想いに基づいて長期に貢献する社員を称賛する制度やカルチャーをつくりあげてきました。
カリフォルニアの本社には、20年、30年、そして40年に至るまで長期勤続社員ひとりひとりの名前がシルバープレートで飾られています。私はそれを見た時、素晴らしい称賛の証だと感じました。日本人の名前も沢山掲示されています。 シルバープレートに載った社員はグローバルや各リージョン会議で表彰されます。その姿を見た他の社員は、「自分も会社に長く貢献しよう」という想いを強くすると思います。
表彰するだけでなく、そういった長期に貢献している社員を育成し、適正に評価し、キャリアを積んでいただいていることも社員の長期勤続に繋がっていると思います。
北川様:先日、バクスター時代から勤務されてきた40年勤務の社員が、リージョン会議で表彰されました。参加者全員がスタンディングオベーションでした。
こういった長期勤続のカルチャーが根付くことができた理由のひとつとして、「革新的な製品を市場に届けていれば、中長期的な財務的な成功は後からついてくる」という成功体験があると思います。
北川様:長く安心して貢献頂くために、心身ともに、ファイナンシャルにおいても健康でいられるように、サポート体制を2重3重に設けています。
エドワーズの福利厚生は「トータルウェルネス」という考え方に基づいているのですが、社員の健康、すなわちウェルネスに必要な柱を「予防」「栄養」「運動」「教育」「健全な財政」「地域活動」とし、それらを包括的に支援するプログラムを提供しています。
生活の質の向上に役立ち、社員の幸福度を高められるように考えられた、良い制度だと思います。また、2023年には、健康経営優良法人の認定を受けました。
北川様:グローバル全社員、約1万7000人が回答したサーベイで、85%以上の社員が過去1年間で何らかの社会貢献活動に関与したと答えています。国内の社員に限っても同じような割合でした。
会社側もいろんなイベントを用意していますし、もちろん自ら探して参加される方もいらっしゃいます。 我々の「こういう会社でありたい」というステイトメントの中に、「社会貢献活動に積極的に参画して、社会の一員としても成長する」とはっきり述べられていて、CEOも含めトップマネージメントも繰り返し言及しています。
しっかりした研修があってこそ質の高いサービスが提供できる
北川様:まず入社後の選択肢についていうと、社内公募制度はしっかり運用されています。今回のTMTT事業部の立ち上げにおいても、全てのポジションを社内公募しています。
社員のレベルアップ、すなわち研修制度に関しては、新入社員研修や階層別研修、トップタレント向けの研修など、他社と比較しても引けを取らないコンテンツを取り揃えていると思います。
営業やフィールドクリニカル・スペシャリストは製品研修と実地研修を行います。長期に亘る内容の濃いものになりますが、そのしっかりした研修があってこそ質の高いサービスが提供できると考えています。
また、上司の許可が得られれば、日本国内の社員対象のものだけではなく例えばアジア・パシフィックの社員を対象としたプレゼンテーションやストラテジックシンキングなどの研修も受講できます。他国の社員とともにセッションに参加できることは、すごくプラスに思っていただける方が多いのではないかなと思います。
「こういう研修をやるので参加したい方はどうぞ」というようなコミュニケーションも国をまたいで活発に行われています。 アジア・パシフィック各国やアメリカ本社とも心理的な距離がとても近いと感じますね。
北川様:日本は売上、利益の面では、かなりグローバルに貢献してきているのですが、人材面での貢献は、これから更に発展する余地があると考えています。
現在グローバルで働いている方も含め、日本から海外へ出たのはまだ数名と数は多くはありません。今後は、定期的に複数名海外で貢献する人材のプールが拡大していくことを個人的に願っていますし、積極的に推進していきたいと思っています。
ですので、将来的にアジア・パシフィックやグローバルで働きたいと思っている方や、実際に行かないまでも日本から貢献したいと思っている方も歓迎します。
北川様:まず女性社員の比率ですが、現在4割近くとなっています。特に薬事やクリニカル、安全管理、人事、ファイナンス等、本社機能において女性社員が多く活躍しています。
女性のマネージメント比率は現在25%前後ですが、2026年には30%まで上げると社外的に宣言しています。 その実現のため、女性社員を積極的に採用していくことが重要ですし、また現職の女性社員が継続的にキャリアを積んでいくことを会社としてサポートしていきたいと考えています。
営業部門でも女性の社員数は年々増加してきていますが、更に増やしていきたいと考えています。
北川様:制度面の充実のみならず、ソフト面の充実や社内のネットワーキングの拡充に力を入れています。 例えば、エドワーズ・ネットワーク・オブ・ウーマン(E.Now)という活動です。
女性社員だけではなく、男性社員も自分で手を挙げて参加し、より良い組織にするためダイバーシティインクルージョンをどう進めていくのかを議論し考えています。 女性比率、女性マネージャー比率が何%という数値的なアプローチと、ボトムアップアプローチの両方を展開しているということです。
北川様 :現在、4名の共同のリーダーで運営しています。去年は大きく分けて、3つのイベントを、年間通して3回ずつ実施しました。
1つ目が「リアルライフトーク」というパネルディスカッションのイベントです。各回のテーマに沿って、いろいろな方に登壇して頂きます。社内の女性リーダーはもちろん、「男性マネージャーと考えるワークライフバランス」というタイトルの回では、女性の部下を持つ男性マネージャーに登壇頂きました。社外の方、例えば転職エージェントさんをお呼びした回もあります。
2つ目は、社内の交流を活性化させることを目的として「Recognition」というものを行いました。社内で感謝し称え合う仕組みを利用し、普段言えない「ありがとう」を伝えましょうというイベントです。
3つ目は、自部門以外の人と交流することを目的とした「バディプログラム」です。 コロナ禍以降の入社者には自部門以外の人と話をしたことがない方も多かったので、社内で3、4人ぐらいのグループを作って、そのグループで何度か食事をして、交流を深めてもらうというものです。 3歳未満の子供のパパママグループであったり、小学生の子供を持つグループだったり。
関心のあるテーマに沿って部署が被らないように人をマッチングしていき、それぞれでコミュニティを新しく作ってもらうことで、交流を深める場を提供しています。
成功するのは「患者さんへの貢献」に真摯に向き合い、「他人と繋がって機能できる」人
北川様:エドワーズは生死にかかわる重要な製品を多く持っていますが、一方で社員はすごく穏やかでジェントルな人が多いというのが私の個人的な印象です。
事業における「選択と集中」のお話をさせて頂きましたが、エドワーズでは顧客である医師も事業部間で重なることが多く、事業部を越えたコラボレーションが必須になります。 ですので、エドワーズで成功するには他人とうまく繋って機能できないといけないし、実際そういう方が成功しています。
社風でいいますと「自由」ということでしょうか。管理するより自主性に任せているというか。わかりやすいところで言うと服装に関してもかなり自由度があり、働く状況によりジーンズもOKなので、入社時は少し驚きました。
北川様:やはりまずは、「患者さんへの貢献」を、真摯に考えてらっしゃる方ですね。エドワーズでは、そういう方が成功されているなと思います。
あとは先ほどお話した、社内外の方々と有機的にきちんと繋がれる人です。個人としての能力とともに、チームで成功していくことに長けている方がフィットすると思います。
もちろん個人の努力も必要だと思いますが、社内で長期的にキャリア形成できる会社だと思います。長期的に勤務して患者さんに貢献したいと思っている方と一緒に、日本のビジネスと組織の成長を体感していきたいですね。
そういった方々にお会いできることを楽しみにしています。
北川様:ありがとうございました。
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