医療機器マーケッターに聞く コロナ禍で変わるセールス・マーケティング手法 ① ~コロナ禍における新製品launch経験~

この記事を書いた人
ディレクター 片岡信寿

ジェイシーエルコンサルティングのディレクター。医療機器業界経験は20年以上。最初に入社した医療機器代理店が倒産。外資系医療機器メーカーに入社し、営業から営業マネジャー、地域営業部長まで務める。

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コロナ禍により医療機器のマーケティング手法にも大きな変化が起こっています。

今回は医療機器マーケティング10年以上の豊富な経験を持つTさんに、「コロナ禍における製品launch経験」、これからの医療機器マーケティング、営業に求められる資質」等について片岡がお話をお伺いしました。

 

まずは、「コロナ禍における製品launch経験」です。

 

 

片岡:Tさん、お久しぶりです。ご無沙汰しております。

 

Tさん:お久しぶりです。

 

片岡:今回、マーケティングとしてコロナ禍での新製品launchという経験をされたということで、是非お話を聞かせて頂けますか?

 

Tさん:はい。その新製品ですが、準備期間からコロナ禍で混乱しておりかなり苦労しましたが、同時に貴重な経験ができましたね。

広い意味でのデジタル化は以前から徐々に進められていましたが、このコロナ禍においては、プロモーション活動に関するデジタル化が一気に進んだように感じます。 否応なく進めなければならない状況になったというのが表現として正しいと思いますが。

 

片岡:その新製品発売において、コロナ禍の対応のため最初にされたことは何ですか?

 

Tさん:まずは訪問規制対応のため、営業が病院に行かなくても製品説明ができる販促資材の作成を急ピッチで進めました。具体的には、製品説明資料をビデオにしたり、紙ベースの資材を電子化したりです。

 

片岡:学会が軒並み延期になりましたが、その影響は?

 

Tさん:関連学会は延期になってしまい、製品プロモーションの機会がなくなってしまいました。よって方向転換をし、初めての試みでしたがWebの講演会を実施してみることにしました。 学会の会期と関係なくプロモーションの機会を創出することができますので。

 

片岡:Web講演会は初めてのご経験だったということですが、実行までスムーズ進みましたか?

 

Tさん:初めてのことでしたので、スムーズにはいきませんでした。まず配信会社の配信枠を押さえないと始まりませんが、コロナの状況が悪くなってくると各社が一斉に枠を押さえてしまい、空いている日にちから選択せざるを得ない状況でした。

 

 

片岡:配信枠もそうですが、演者ドクターのスケジュールも押さえなければいけませんよね?

 

Tさん:そこも苦労しました。ドクターのスケジュールはOKでも、勤務する病院が出張をNGとし、主要都市にある撮影スタジオにドクターが来られないという状況が発生しました。

そのため、例えば、ドクターのご自宅や病院を配信スタジオとつないだり、外部会議室をスタジオ化することで、リモート参加を可能とするようなことで対応しました。 今でこそTVでも当たり前のように行われているリモート参加ですが、当時は全てが初めての対応でしたのでその準備には大変苦労しました。

 

片岡:告知はどのようにしたのですか?

 

Tさん:とにかく「ターゲットドクターに届くように告知する」ことに執着しました。配信会社に告知を依頼したのですが、様々な要件で告知先を絞込むことができるので、この機能はとても便利だと思いました。

 

片岡:確かに営業が持っているデータベースだと限界がありますね

 

Tさん:いつも訪問しているいわゆる「キーマン」のドクターであれば自社のリソースでカバーできますが、実際に機器を使用する医師は異なるケースも多々あります。 そういった顧客層にアプローチするには配信会社のデータベースを活用した施策というのは有効だと思います。

 

片岡:さてWEB講演会ですが、多くのドクターに見て頂けたのでしょうか?

 

Tさん:当初の予想を上回るドクターに見て頂けました。 Web配信を見て、「早く説明会をしてほしい」という要望をドクター側から受けることもありました。

 

片岡:それは新しいアプローチ方法ですね。

Tさん:コストはある程度かかってしまいますので、プロモーションの内容によって使い分けるとか、これまでの活動と並行してWEBをうまく組み入れていくなどの工夫が必要かもしれません。

 

片岡:その製品の売り上げはかなり好調と聞いていますが、原因は何と考えますか?

 

Tさん:そうですね。繰り返しになるかもしれませんが、プロモーションの機会がなくなるなか、あきらめずにその機会を模索し創出できたことと、広く告知することで、短期間で認知度・関心度を上げることができたことが要因だと思います。

 

片岡:お話を聞いて思ったのすが、 営業は主力製品のキードクターにしか訪問しなかったりしますが、Web講演会によって広く周知したことにより、キーマン以外のドクターの認知度を高められたのも成功要因の一つになるでしょうか?

 

T:少なからずあると思います。営業が普段リーチできていない多くのドクターが実際に使用するということは大いにあります。その層のドクターにリーチできたのだと思いますね。

 

次項:医療機器マーケッターに聞く コロナ下で変わるセールス・マーケティング手法 ② ~コロナ禍におけるセールス・マーケティングのポイント~ に続く

 

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