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著名医師に聞く:「循環器インターベンションの現状と展望」 総合東京病院 心臓血管センター 循環器内科 心臓血管インターベンション科 科長 滝村英幸 先生 

2025/12/01

2025/12/01

目次

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滝村英幸 先生 略歴                                                          2006年 3月 聖マリアンナ医科大学医学部医学科卒業  
2006年 4月 聖マリアンナ医科大学病院 初期臨床研修医 
2008年 4月 済生会横浜市東部病院 循環器内科 後期研修医 
2011年 4月 済生会横浜市東部病院 循環器内科 医員
2015年 4月 済生会神奈川県病院 循環器内科 医長兼任 
2016年 4月 済生会横浜市東部病院 循環器内科 医長  
2016年12月 総合東京病院 循環器内科 医長  
2022年 4月 総合東京病院 心臓血管センター 循環器内科 心臓血管インターベンション科 科長  

  所属学会: 日本内科学会、日本循環器学会、日本心臓病学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心エコ-図学会、日本高血圧学会  

  資格: 日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医、日本周術期経食道心エコー(JB-POT)認定医、日本心エコー図学会SHD心エコー図認証医、、臨床研修指導医  

専門: 循環器一般、心血管インターベンション、心血管超音波、心不全  

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著名な先生方に、医療機器業界での転職に有用なトピックについて語っていただく、「著名医師に聞く」。 今回は、総合東京病院 心臓血管センター 循環器内科 心臓血管インターベンション科 科長 滝村英幸 先生に、「循環器インターベンション治療の現状と展望」をテーマにお話を伺いました。 

インタビュアーのシニアコンサルタント光本は、医療機器メーカーで営業として在職中、担当者として滝村先生にお世話になっておりました。  

 

光本:滝村先生、本日はよろしくお願い致します。まずは先生のご経歴を、その時々に関わった治療と併せて教えて頂けますでしょうか? 

滝村先生:はい、こちらこそよろしくお願いします。聖マリアンナ医科大学を卒業して2年間の研修を終えた後、 PCI (経皮的冠動脈インターベンション)をやりたくて複数の病院を検討した結果、当時開院したばかりの済生会横浜市東部病院に入職しました。  

光本:当時はDES(薬剤溶出性ステント)の出現もあり、PCIが非常に活発に行われていた時期でしたね。 

滝村先生:そうですね。済生会横浜市東部病院では、PCI、EVT(末梢血管内治療)、ペースメーカー、CRT(心臓再同期療法)、TAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)と、循環器内科の治療はアブレーション以外ほぼ一通り経験しました。

入職から10年経った後に総合東京病院に移り、当初は循環器センター立ち上げの段階だったので、PCIとEVTをメインに行っていましたが、2年前から経皮的左心耳閉鎖術を導入し、現在では都内及び全国でも上位の症例数を実施しています。 

光本:ありがとうございます。次に、携わってこられた各治療の現状と今後の見通しについて、先生のお考えをお伺いできますでしょうか? 

滝村先生:まずPCIですが、全国的に症例数は減っています。理由としては、健康意識が高まって脂質管理も進んでいますし、喫煙率も下がり、生活習慣が全体的に改善されていることが影響しています。昔と比べて、心筋梗塞やACS(急性冠症候群)の発症が減っていますね。 

また、DESで一度治療するとほぼ再狭窄しません。ある意味ほぼ治療が完成していると言えると思います。 

光本:そいうった状況下で、デバイスの進化という観点からはどうでしょうか? 

滝村先生:デバイス進化は止まっているというわけではなく、DESの種類はに増え、ロータブレーターに代わるDCA(冠動脈アテレクトミー)やショックウェーブ、ダイヤモンドバックなども登場しています。 

光本:EVTについてはどうでしょうか? 

滝村先生:EVTにはまだ伸びしろがあると思います。日本で導入が遅れていたDCB(薬剤コーティングバルーン)や、DES、カバードステント、アテレクトミーデバイスなどが使えるようになり、デバイスの選択肢が増えてきました。今後も新しい技術が導入されると思います。 

ただ、デバイスの充実に関わらず、実際の症例数がまだまだ増えていないのは、積極的に治療されていない現状があるからです。 

光本:症例数が伸びないのはどういった理由でしょうか? 

滝村先生:やはり地域格差が非常に大きいです。私は全国に出張する機会がありますが、地方では、非常に多くの患者さんが存在するのに治療が行われていないという状況が見られます。 

光本:PCIは生活習慣の改善で患者が減っているようですが、EVTでは状況が違うということですか? 

滝村先生:生活習慣は改善されていますが、治療が確立されたPCIと違って、そもそも治療されていない患者さんがまだ大量にいるということです。ABI(足関節上腕血圧比)が低くても、ただ薬を出すだけで、血管を拡げる治療を知らないクリニック、できない病院もまだ日本全国をみると多いです。 

ただ、それまで経験がなかった先生方も、実際に治療をやってみると非常に前向きに興味を持って取り組むんですね。ですので、治療が普及していない地域において積極的な治療を促せる営業がいれば、現場を変えることができると思います。治療を届けられていないたくさんの患者さんを助けることができるという、営業の皆さんにとってもやりがいのある領域だと思います。 

光本:ありがとうございます。次に経皮的左心耳閉鎖術やTAVIなどのStructural Heart領域についてもお願いいたします。 

滝村先生:経皮的左心耳閉鎖術は、手技も比較的シンプルですしもっと普及してもいいと思うのですが、施設間に温度差があります。あと、ほとんどの施設が直面する問題は、啓蒙してもほとんど周辺のクリニックから紹介が来ないということです。 

光本:紹介が来ないのは無症状だからでしょうか? 

滝村先生:そうですね。無症状なのでクリニックの先生は紹介の必要性を感じない、あるいは紹介が面倒と感じているのかもしれません。

しかし実際には、高齢化に伴って心房細動の患者数は増えており、経皮的左心耳閉鎖術の適用となる患者さんはたくさんいます。EVTと同様に、営業の方には必要な治療を必要な患者さんに届けるという意識をもって動いてほしいです。 

光本:最後にTAVIをはじめとする心臓弁膜症の経皮的治療についてのお考えをお聞かせください。 

滝村先生:TAVIは首都圏ではかなり治療が進んでいると思います。但し地方では治療できる施設が少ないこともあり、まだまだ対象となる患者さんがいらっしゃいます。今後は三尖弁の治療や、海外ではすでに一般化していますが、日本では一部施設に限られて実施されている「バルブ・イン・バルブ」、つまり人工弁置換後の狭窄に対するカテーテル治療も増えると思います。 

ストラクチャーハート領域は、日本にまだ導入されていない製品も多くあり、発展が見込まれる領域ですね。 

光本:ありがとうございます。さて、少しテーマを変えてお話を伺いたいのですが、先生は普段、複数の医療機器メーカー営業担当者お会いになると思いますが、医療機器営業に求めるものとはなんでしょうか? 

滝村先生:基本的なところでは、嘘をつかない、適当なことを言わない、迅速に対応する、ということです。 

あとは、医師と一緒に治療を作っていくような姿勢を持ってほしいと思います。治療について自社製品だけでなく全体的な知識を持ち、例えば若手医師が困ったときにアドバイスをしたり、営業の方自身が治療に強い興味を持ち、「先生、こういった治療を始めてみませんか」と提案したりしてほしいですね。 

立ち合い規制の影響もあるのかもしませんが最近はメーカーとの関係が昔よりもドライになっていて、「一緒に治療をする」という関係性が薄れていると思います。 

関連することですが、自分の担当先で治療がうまくいかなかった時、そこに「この先生ならできる」と別の先生につなげられる営業がいれば、売上にも、患者のためにもなります。私もそうやって知らない病院に行って治療してきたこともありますし、そういう営業の働きは非常に価値があると思います。 

光本:医療機器営業の基本的な仕事として日々の情報提供があると思います。現在、インターネットがここまで発展している状況下で、それでも営業から得る情報は価値がありますか? 

滝村英幸:それは大いにありますね。インターネットで得られる情報には限界があります。学会に頻繁に参加する先生は情報を得やすいですが、若手医師は学会に行きにくいという声も多いんです。そういう時、営業からの情報提供は貴重です。 

光本:営業個人ではなく、医療機器メーカーに対しては、どのようなお考えがありますが? 

滝村先生:医療機器メーカーには、やはり新しいものを開発・導入することにもっと取り組んでほしいですね。もちろん、目先の売上は大事なので既存製品の販売も重要だと思いますが、それに加えて将来を見据えてチャレンジしてほしいと思っています。 

そういった意味でも、日本の医師の意見を取り入れてくれやすい日本の医療機器メーカーには、大いに期待しています。 

光本:個人レベルでも会社レベルでも、目先の売上だけでなく、患者さん・医療に対して貢献する姿勢が大事ということですね。滝村先生、本日は貴重なお話をありがとうございました。 

滝村先生:ありがとうございました。 

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