医療機器業界ブログ トップセールスに聞く。withコロナ、afterコロナの医療機器営業 後編 ~セールスの評価軸が変わる?~

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代表 井口貴博

医療業界専門エージェント、JCLコンサルティングの代表。医療機器の業界経験は20年以上。前職では外資系医療機器メーカーの立ち上げ時期に参画し、最終的には営業本部長を務める。

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前回より続く:トップセールスに聞く。withコロナ、afterコロナの医療機器営業 前編 ~メール出禁に注意?~

 

コロナ禍における営業活動の現状と今後について、大手医療機器メーカーで営業経験15年以上、トップセールスとして活躍するHさんに、代表の井口がお話を伺いました。

今回は、前回に引き続き、後編です。

 

井口:さて、コロナ禍において、その他営業活動で意識された行動はありますか?

 

Hさん:我々メーカーの訪問については規制されていましたが、特約店による施設訪問、症例立ち会いは許容されている施設が多かったことに着目しました。

そこで、特約店担当者を介して自社製品の拡販を加速させました。私は以前から、ドクターへの営業も重要視していましたが、特約店担当者との人間関係も非常に大事にしていたので、そのコミュニケーションをより密にとることで、ドクターへの製品使用の働きかけをしてくれました。当然他のメーカーも同様のことをしていましたが、結果論ですが人間関係の差が出て、私にとっては有利な状況でしたね。

 

井口:逆にご自身でうまくいかなかったところ、失敗したこと、うまくいかなかった営業マンの行動などがあれば教えてください。

 

Hさん:従来訪問頻度が低かった顧客へのアプローチに関しては、コロナ禍となった状況下でやり取りすることに難しさを感じました。メールアドレスの取得や面談を実行するためのきっかけを探すのに苦労しましたね。

 

今後は、デジタルとリアルのアプローチを組み合わせた「ハイブリッド型営業」が主流になると考えます。

井口: 今後の見通しはどうでしょうか?営業スタイルがコロナ以前に戻ると思いますか?今後、スタンダードとなると考える営業スタイルなどがあれば教えてください

 

Hさん:直近の状況ではコロナ第三波が襲来しており、少しずつ緩んでいた訪問規制が再度厳しくなってきていますね。この状況から判断すると、ワクチンが誕生したといえども以前の状況に戻るとは想定し難いです。

学会開催形態もWeb形式と現地開催のハイブリッド形式での開催が検討されており、実際にハイブリッド形式にて開催した学会もあります。営業スタイルにおいてもハイブリッド型が今後のスタンダードになると推察します。

 

井口:製品のデモやオペの立ち会い以外は、まさにハイブリッドな営業が主流となりそうですね。私もエージェントとして業界を見ていて、テレワークが一般化し、デジタルマーケティングポジションが増加し、各メーカーのプロモーション手法も大きく変わろうとしていると感じます。日本、いや世界で働き方が変わっていますからね。でもそこに新たなビジネスチャンスがありますよね!

 

 

Afterコロナにおいては、柔軟性のあるシニア世代の活躍の場も広がると考えます

Hさん:今後、医療機器メーカーは、営業の働き方、営業スタイルによって大きく数字を伸ばせるチャンスがあると思っています。私自身も実際に今後についてのプランは色々と考えています。

 

井口:もう少し具体的に教えてもらえませんか?

 

Hさん:結局、繰り返しになりますが、『顧客のニーズをどれだけ正確に掴めるか?』が重要なスキル指標になるのは間違いないと思います。

手法を問わず限られた面談時間で顧客のニーズを掴むスキルが重要視されていくので、営業を評価する際の指標がシンプル化され、シニア世代でも活躍の場が広がるのではないかと推察しています。

 

 

井口:コロナ禍において、結果的にシニア世代の方の実力がフォーカスされる可能性があるという事でしょうか?

 

Hさん:個人的な意見ですが、若手、ベテラン・シニア世代関係なく、本当に能力のある人はこのような状況下になっても実績をキープできています。年齢が高くなるにつれ退職を促されるリスクは高まるという現実がありますが、今後はその点に変化があるのではないかと思っています。

 

井口:そうですね。「顧客訪問件数や、顧客から見ての扱いやすさ」なら若手営業が重宝されましたが、コミュニケーションの時間や方法が制約される時代になると、評価軸が変わって能力のあるシニアが活躍できる可能性が高まるということですね。シニアの活躍は、今後ますます日本社会の課題となってきますので興味深いですね。

セミナーやイベントにおける変化についてはどう見ていますか?

 

Hさん:Webでの企画は、企業のコストセーブには貢献しています。参加者の立場で考えてもスケジュールの調整がやりやすく、今後も継続されると思います。しかし、企画数が増えていくにつれ、より内容に差別化が求められるようになるでしょう。

 

井口:そうですね。一歩先を考えて企画を練っていかないといけませんよね。少し話がそれますが、普段忙しいドクターは、企業が主催するセミナー参加のための他地域への移動などは息抜きにもなっていたと思いますし、営業としても長く一緒にいられる時間となっていました。そういった側面からは双方にマイナス部分も大きそうですよね。

 

Hさん:そうそう。ドクターもストレス発散の場が減りますし、我々もビジネスチャンスが減ることになります。

 

井口:さて、一方でWebの企画での問題点などはどのような事でしょうか

 

Hさん:学会等がアーカイブ提供する講演会・セミナーの動画は許容されているのですが、企業が提供する講演会・セミナーは各社のコンプライアンス基準に沿った配信となるので、実際にはアーカイブ提供できないケースが多いかもしれません。

 

井口:コロナ禍にて、他に変わった事や気付いたことなどがあればお願いします。

 

Hさん:チームメンバーとのやり取りが希薄になりました。これについては組織として活動していく中で危機感を持っており、現状の課題となっています。一方、Positiveな面として、出張や残業が減り、良いワークライフバランスが保たれていると思います。

 

井口:そうですね、Face to Faceは非常に大事なことだと思いますが、それができない今、どう工夫するかは大きな課題ですね。次回はそのあたりのお考えも聞かせてください。ありがとうございました。

 

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